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きました。そこで聴力検査等をしておられる「はたぐち先生」にお会いしました。先生は、ひとみの声を聞いて、「お母さん、この子の耳は聞こえていませんよ、でも補聴器をして訓練をすれば、きっと話ができるようになるから頑張るように」と言ってくださり、とても嬉しかったです。
そのとき私は、「どんなに辛くても、きっとこの子と一緒に話ができるようになるまで頑張ろう」と、強く心に決めました。早速、その日のうちに、先生の紹介で近くの耳鼻科に行って診断をしてもらい、その足で補聴器店へ行き、補聴器を買って帰りました。一週間後に耳型が届き、耳に掛けてやると、気にいったのか嬉しそうにしているのを覚えています。
私たちは、ひとみが一年生の二学期まで京都府の久美浜町で暮らしていました。京都までは遠くて通えないから、府立ろう学校の舞鶴分校へ通うようにと言われたので、分校へ訪ねて行きました。
とてもやさしい先生ばかりで、「ひとみちゃん、ひとみちゃん」と声をかけてくださいました。ひとみは二歳八ヵ月でした。先生が、「初めは週に一日で、勉強は一時間です」と、言われたので少し安心しました。というのは、久美浜から舞鶴まで片道、二時間ちょっとかかります。
大丈夫かなと心配はあったのですが、はたぐち先生の言葉を信じて頑張りました。
教育相談が終わったらいよいよ幼稚部です。先生から、「幼稚部は週に一日だけがお休みで、お勉強もいっぱいあります」と言われました。これからがひとみと私の本当の戦いです。
毎朝五時半に起きてみんなのご飯の用意をし、私のお弁当と、ひとみの朝の弁当を作ります。

 

 

 

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